Powerplayベータ雑感

先週より開始されたv1.3ベータテストですが、目玉の新機能であるPowerplayについて公式フォーラムではネガティブな意見が目立ちます。

最初に申し上げておきたいのは、すべてのユーザがPowerplayのすべてについて否定的な意見を述べているわけでありません。v1.3でPowerplayと合わせて追加された新機能や、新機体、これまでの問題の修正などで好意的な意見は多々見られます。ただ肝心の目玉であるPowerplayの出来に失望したり、改善を望む声が声があるのも事実です。その多くは概ねPowerplayの概念には好意的ですが、その実装方法に問題があるとみているユーザが多いという印象です。自分がプレイしていて感じたことと重なる部分もあるので、ここではそのPowerplayの問題と思われる点に絞ってお話しします。

 

公式フォーラムでとあるユーザが「現状の作りのままでPowerplayをプレイすることを楽しみにしている?」という投票形式のスレッドを立ち上げています。

[POLL] Are you looking forward to playing Powerplay in it’s current capacity?

選択肢は以下の5つです。

  1. Powerplayについて沢山調べた、またはベータをプレイした上で、Powerplayをプレイすることを楽しみにしている
  2. Powerplayについて沢山調べた、またはベータをプレイした上で、Powerplayをプレイすることを楽しみにしていない
  3. Powerplayについてあまり知識はないが、Powerplayをプレイすることを楽しみにしている
  4. Powerplayについてあまり知識はないが、Powerplayをプレイすることを楽しみにしていない
  5. よく分からない

この記事を執筆した時点での合計の投票数は723票で、結果は以下の通りです。

2015-06-02_00001

一番多かったのは2番の386票で全体の53%を占めます。続いて1番の191票(26.42%)、5番の88票(12.17%)、3番の33票(4.56%)、最後に4番の25票(3.46%)という結果になっています。 注目したいのは1番と2番の結果で、ベータをプレイしたまたはプレイした人の書き込みなどを散々見た上でネガティブな感想を持ったユーザの数が、ポジティブな人より倍以上いるという点です。比較的大抵のことにはポジティブな反応を示すことが多い公式フォーラムで、なぜこんな結果になってしまったのでしょうか。 ネガティブな感想を持ったユーザの意見を集約すると大体以下のような感じになっています。

  1. Power間の争いのはずが、実際は同じPowerに所属するコマンダー間の争いになっている
  2. 長時間プレイ出来る人が有利な仕組みになっている
  3. ミッションなど既存の仕組みとPowerplayがうまく統合されていない

では一つずつ見ていきましょう。

 

i. Power間の争いのはずが、実際は同じPowerに所属するコマンダー間の争いになっている

Powerとは政治的な権力を持つ人物、または団体のことを指し、ベータの段階では10のPowerから好きなものを一つ選び、そのPowerが推し進める政策に則って勢力の拡大を狙います。プレイヤーはそのPowerが掲げる政策に沿って活動し、その貢献度によって報酬が得られます。

Powerplayにおいてはその貢献度はMeritと呼ばれる単位で表され、例えばそのPowerの傘下に入ると如何に素晴らしいかを喧伝する資料10トンを、まだどのPowerにも属してない星系に運ぶと10 Meritを獲得することができます。合計で100 Meritを超えると、その獲得したMeritの値に応じて特典が得られ、例えばそのPowerに所属していないと得られない武器や装備を買えるようになったります。

ここで問題になるのはそのMeritと特典がどのように関係づけられているかで、現状の仕組みではそのPowerに所属する全コマンダーが過去1週間にどれだけMeritを獲得したかを計算し、Meritが多い順に5段階に並べて(Rating)、その段階に応じて報酬を与えるようになっています。最も段階が高いRating 5になるにはそのPowerに所属する全コマンダー中で上位10人までに入らないといけません(上位10%ではありません)。Rating 5ほどではないにしろ、Power固有の装備が得られるRating 3になるには上位50%以内に入る必要があります。所属するPowerにどれだけの数のコマンダーがいるかにも寄りますが、自分では結構頑張ってMeritを稼いだと思っても、周りのコマンダーがそれ以上に稼いでいれば最低のRatingしか得られない場合もあります。

つまり本来はPower同士でお互いの勢力圏を拡大、阻止を行っているはずが、気がつくと自分と同じ志を持って活動している同士達がより高い報酬を得る上でのライバルとなってしまう問題があります。競争原理が働いているといえばそれまでですが、自分以外はすべてライバルで蹴落とすべき存在のような過度の競争原理は組織を崩壊させてしまう危険性をはらんでいますし、プレイヤーの中には他のプレイヤーの活動を邪魔するようなことをする人が出てくるかもしれません。

 

ii. 長時間プレイ出来る人が有利な仕組みになっている

より多くのMeritを稼ぐにはそれだけ沢山の貢献を所属するPowerに対して行う必要があるわけですが、先程「例えばそのPowerの傘下に入ると如何に素晴らしいかを喧伝する資料10トンを、まだどのPowerにも属してない星系に運ぶと10 Meritを獲得することができます」と書きましたが、この「資料 10トン」は単位時間あたりに取得できる数が決まっています。

一番低いRating 1では10トン/30分です。15光年ぐらいの近場に10分ぐらいかけて配送しても、次の10トンはさらに20分待つ必要があります。1トン運ぶと1 Meritになるので、100 Merit稼ぐにはどんなに効率よく運んでも単純計算で300分(5時間)かかります。当然100 Meritぐらいでは上位10人になれるわけもなく、より高いRatingを得ようとすると他の人より多い時間ゲームをプレイする必要が出てきます。

またRatingが高いほど単位時間毎に取得できるトン数が増えていき、単位時間(待ち時間)も短くなっていく仕組みになっているため、長時間プレイ出来る人ほど有利な作りになっています。

MMOですし、より長い時間遊んで欲しいという開発者側の意向もあるのでしょうが、比較的年齢層が高いユーザが多いこのゲームで、家族の理解を得て週に1回1~2時間程度ゲームできる時間を持てるかどうかといったようなお父さんにはちょっと厳しい仕組みのような気がします。もちろん長時間プレイするプレイヤーに対しては相応の報酬があってしかるべきだと個人的には思いますが、今の仕組みでは上位10人はほぼ固定化するのではないかと思います。一部の固定化されたヘビーユーザの意向だけでPowerplayが進んでいくのはやはり問題なのではないでしょうか。

ちなみに単位時間(待ち時間)はお金でなんとかする手段もあります。一番低いRating 1では10万Crを払うことで待ち時間をなくすことができますが、これはこれで手持ちの資金が乏しいゲームを開始したばかりのユーザには厳しいですし、これもまた長時間プレイしていて資金に余裕があるユーザが有利になることを助長しています。

 

iii. ミッションなど既存の仕組みとPowerplayがうまく統合されていない

Meritを稼ぐには所属するPowerに対して何らかの貢献を行う必要があるわけですが、私が所属しているAisling Duval妃の場合は何らかの荷物を目的の星系まで運送することでMeritを稼ぐことができます。実はこの荷物は特殊な荷物で、ステーション内のCommoditiesで売っていません。またこの運送ミッション自体もステーション内のBulletin Boardには載っていません。ではどこでミッションや荷物を受領するかというと、現時点ではステーション内のContactオフィス内にある「Power Contact」を訪ねると、そこでPrepare、Expansion、Fortifyの3種類のミッションから専用の荷物を受け取ることが出来ます。UIは以下の通りです。

Power Contact UI

荷物を受領後、目的の星系まで荷物を運んだら受け取るときと同様に、ステーション内のPower Contactを訪ねて荷物を渡します。荷物が無事に渡されるとそこでMeritを得られることができます。

このように実際にやることはBulletin Boardにある運送ミッションとなんら変わりはありませんが、UIも完全に別になっていますし、報酬もクレジットとMeritのように異なります。ここでお気づきになった方もいらっしゃると思いますが、Power Contactで受けられるミッションをいくらこなしてもクレジットは一切稼げません。つまりPowerに対して貢献するには無償でミッションをこなす必要があります。当然荷物を運ぶためには移動が生じますので燃料費がかかります。配送の途中で海賊や敵対する勢力の船に襲われて船が傷ついてしまい修理が必要になっても全部自腹です。高いRatingを得ようと一週間寝ずに運送しても1クレジットにもなりません。クレジットが得られないのであれば、どれだけ資金を持っていたとしてもいずれ資金は尽きてしまいます。ですからPowerへの貢献作業とは別に、平行して何らかのビジネスをやる必要があります。そうすると当然時間が必要となります。ここでもii.で指摘のあった長時間プレイできる人ほど有利という指摘が当てはまります。もちろん手持ちの資金の少ないプレイヤーにも不利な作りです。

わざわざ特別なUIまで用意して、特殊なミッションをこなすようにするのではなく、既存のBulletin Boardにあるミッションで、そのPowerの為になるような内容であればクレジットに加えてMeritも得られるようにすれば良かったんじゃないのか、という疑問が上がっても当然という気がします。

 

それ以外にも沢山の意見が寄せられており、なるほどその通りとうなずいてしまうようなものもありますので、流し読みでいいので一度スレッドを見てみることをお勧めします。 またv1.3で行われた変更点で、Powerplayとは直接関係がないものの、不評を買っている項目がいくつかあります。

  1. ゲームをプレイしていない時間が長くなるほど名声が時間経過と共にだんだんと落ちていく新機構
  2. Outfitで装備を売却する際に、購入したときの金額の90%の価格になる変更

この2点についてはある程度ネガティブな反応があることも見越した上で意図的に変更しているようですので、ユーザのフィードバック次第で今後どのようになるのかは分かりません。