Elite: DangerousにおけるOculus Riftのサポート

ついにOculus Riftが日本時間の1月7日午前1時から予約開始となりました。新しい世代のVR(Virtual Reality)ヘッドマウントディスプレイということで、発売を楽しみにしている方も多いと思います。私もその一人です。

一方で昨年発売されたElite Dangerous: Horizonsの公式トレイラーなどを見ていて、最後のクレジットが表示されるところでSteamVRやHTC Viveのロゴはあるものの、肝心のOculusのロゴが見えずに「おや?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。

Elite: Dangerousも開発当初からVRを積極的にサポートしており、当然Oculus Riftもその対象となっていました。Youtubeやニコニコ動画に上げられている動画でもOculus Riftを使って楽しそうにプレイしているプレイヤーの様子が映ったものが少なくありません。またFrontierもOculusも互いに双方の製品の宣伝に使うなど緊密な関係を保っていました。しかし昨年8月にリリースされたOculus PC SDK 0.7.0.0 Beta(以降、SDK 0.7)の登場でこの状況が一変します。

SDK 0.7ではElite: Dangerousが使用していたExtended Modeという機能が廃止される一方で、それ以前のバージョンに対する後方互換性もなかったためにElite: Dangerousは大幅な作り直しが必要となりました。ひょっとしたら単なる作り直しだけでは済まず、根本的な設計から見直しが必要になったのかもしれません。いずれにせよ既に本番のサービスを開始しており、多くのプレイヤーがゲームを楽しんでいる状態で、一部のプレイヤーしか利用していないOculus社製品のサポートのためだけに大幅な改修を行うのは難しい状況にあったであろうことは容易に想像できます。

またOculus側も2016年に予定している最終的な製品化に向けて最後の追い込みの時期に過去の互換性を切り捨てる大きな判断をしたところを見ると、こちらはこちらで今さら引き返せない事情があったに違いありません。

結果的にSDK 0.7の登場と、FrontierとOculusの互いに相容れない事情の違いにより、表向きは「今後も双方で協力していく」とのコメントを残したものの、その後の進展は一切ありません。このため現在のElite: Dangerous v1.5およびElite Dangerous: Horizons v2.0でサポートされるOculus PC SDKのバージョンは0.6か0.5となっており、0.7以降のバージョン(最新は0.8)はサポートされていません(Oculus Rift SDK update / Oculus 0.7 SDK update)。恐らく日本時間で明後日から予約開始となるOculus Rift製品版でもこの状況は変わらないものと思われます。

/r/Oculusサブレディットのこのスレッドで紹介されているツールを使うと最新のSDKとSDK 0.6を切り替えて使えたり、また公式フォーラムのこのスレッドによればSteamVRと組み合わせれば動作するといったような情報もありますが、いずれにせよプレイヤー側で何らかの努力を行う必要があり、Oculus Riftを買ってきてPCにつないだら即Elite: DangerousでもVR体験ができるといった状態には残念ながらありません。

いつもぎりぎりまで発表しないFrontierのことですので、明日以降に突如サポートを発表するなんていうことが起きて欲しいところですが、今回ばかりは厳しいかもしれません。ただすぐにではなくとも、将来的にサポートはしてほしいと願います。